財産管理等委任契約(任意代理契約)について
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
目次
「財産管理等委任契約」で老後の不安に備える
もし動けなくなったら、自分でできない手続きはどうする?
誰でも年老いてくると、そのうち病気やケガなどで身体が思うように動かなくなるのではないかという不安が出てくると思います。
寝たきりになれば、自分で銀行へお金を引き出しに行ったり、病院へ治療費を払いに行ったりすることもできませんので、誰かに代わりに行ってもらう必要があります。
このような場合、身近な親族や知人に代理人をお願いしても、お金を受け取ったり払ったりする相手の側は本当にその人が代理人かどうかわかりませんので、委任状を書く必要があります。
しかし、その都度委任状を書くとなると手間がかかりますので、急いでいる場合などはスムーズに手続きできず、困ったことになってしまいます。
財産管理等委任契約(任意代理契約)とは
財産管理等委任契約とは、特定の人に代理人になってもらい、財産の管理などをお願いする契約(委任契約)です。
「任意代理契約」と言われることもあります。
代理人にお願いすることの範囲をあらかじめ決めて書面にしておくことで、その都度委任状を書かなくても、その人に代理してもらうことができます。
財産管理等委任契約を結んでおけば、自分の代わりに代金の受け取りや支払いをお願いしたいときや、その他の事務手続きをお願いしたいときに、スピーディーに用件が片付きます。
財産管理等委任契約で依頼できること
財産管理等委任契約には、特別なきまりはありません。
自分で自由に代理人を選ぶことができますし、必ず公正証書にしなければならないわけでもありません。
代理人になる人にお願いすることについても、自分で自由に決めることができます。
たとえば、
・金融機関の口座の管理をしてほしい
・身のまわりの物品の購入を任せたい
・所有している不動産の家賃の受け取りをしてほしい
・公共料金や介護サービス費用の支払いをお願いしたい
・住民票や戸籍謄本などを代わりに取得してほしい
といったことも、財産管理等委任契約でお願いすることができます。
財産管理等委任契約はいつからでも開始できますので、どのような場合に契約が開始するかを含めて、事前に決めておくことができます。
任意後見契約を結んでいたら大丈夫?
老後の財産管理の方法としては、任意後見契約もあります。
任意後見契約を結んでいれば、何かあったらその人に財産管理を任せられるので安心と思うかもしれません。
しかし、任意後見契約というのは、認知症などで判断能力が低下してはじめて効力を生ずる契約です。病気やケガで身体が動かなくなっても、判断能力があるうちは任意後見人に財産管理等を依頼することはできません。
つまり、自分の老後、身のまわりの財産等を安全に管理できるようにしておくためには、任意後見契約だけでは十分ではないということです。
任意後見契約に加えて、財産管理等委任契約を結んでおくことで、老後の財産管理が万全になります。
専門家に財産管理等委任契約を依頼するメリット
信頼できる国家資格者に代理人になってもらえる
誰かに財産管理等の代理人をお願いしたいけれど、身近に頼める人がいないという場合もあると思います。
そのような場合には、司法書士・行政書士などの専門家と財産管理等委任契約を結び、代理人を依頼することができます。
国家資格をもつ司法書士や行政書士であれば身元もはっきりしていますし、手続きのために欠かせない法律知識も持っていますので、大切な財産の管理を任せるのに適任です。
任意後見契約とセットにできる
身体が不自由になっても、判断能力があるうちは財産管理等委任契約で対応できますが、判断能力が低下した場合には財産管理等委任契約では対応できません。
このような場合に備えて、財産管理等委任契約は、任意後見契約と同時に締結するのが一般的です。両方の契約をセットにしておくことで、判断能力が低下したときにはスムーズに任意後見契約に移行することができます。
専門家が財産管理等委任契約の依頼を受ける場合には、通常、任意後見契約もセットで対応します。
さらに、死後の事務処理について、死後事務委任契約を結んでおくこともできますので、もしもの場合の不安にトータルに備えることも可能になります。
公正証書作成も任せられる
財産管理等委任契約には、様式の制限はありません。
しかし、公証役場で公正証書にしておくと、どこへ持って行っても信用されやすくなりますので、手続きがスムーズに進みます。
と言っても、自分で公証役場に依頼して公正証書作成するとなると、何をどうしてよいかわからないという方も多いと思います。
司法書士・行政書士に財産管理等委任契約を依頼すれば、通常、任意後見契約と一緒に公正証書にする手続きをします。
内容についても法律的なアドバイスが受けられますので、安心して公正証書を作ることができます。
老後の不安に備える方法として、任意後見契約だけでなく、財産管理等委任契約も結んでおくのが安心です。
これらの契約は、ご自身の判断能力があるうちでないと締結できませんので、早いうちから考えておかれるのがおすすめです。
当事務所では、任意後見契約のほか、死後事務委任契約、見守り契約、遺言書等も合わせ、お客様に最適のプランをご提案させていただきます。お気軽にご相談ください。
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