銀行カードローンを債務整理するには
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
銀行カードローンは、無担保で限度額まで何度でも借入ができるタイプのローンです。銀行が提供する商品なので安心感がある上に、消費者金融よりも一般に低金利で借りられます。
そんな便利な銀行カードローンですが、お金を借りて支払いが困難になることもあると思います。今回は、銀行カードローンの債務整理について説明しますので、参考にしていただければ幸いです。
銀行カードローンも返済が厳しくなったら債務整理を検討
総量規制対象外なので過剰貸付になりがち
貸金業者から借金するときには、「総量規制」と呼ばれる規制により借りられる金額に制限が設けられています。総量規制とは貸金業法に定められている貸付規制で、これにより貸金業者は原則として債務者個人の年収の3分の1までしか貸付ができません。
貸金業者の代表と言えば消費者金融です。消費者金融で借金するときには、総量規制があるので借り過ぎを防ぐことができます。一方、銀行は貸金業法上の貸金業者ではないので、銀行カードローンには総量規制が適用されません。銀行の判断でいくらでも貸付ができます。
銀行カードローンは総量規制対象外なので、過剰貸付になりやすいのが特徴です。信頼できる銀行のローンと思って借りてしまいがちですが、計画的に返済をしなければ、支払困難になってしまいます。
債務整理(任意整理)とは?
債務整理のうち任意整理とは、お金を借りている会社(債権者)と交渉し、借金の支払条件を変えてもらう手続きです。
任意整理するときには、払い過ぎの利息(過払い金)があれば、これを残りの借金の返済に充てられます。任意整理後に発生する利息の支払いは免除してもらえるので、残った借金の元本だけを3~5年の分割払いすればよい形になります。
銀行カードローンを債務整理(任意整理)するメリット
銀行カードローンも任意整理をすることはできます。銀行カードローンを任意整理すれば、借金を減らすことができます。
ただし、銀行では以前から利息制限法で許容された利率での貸付を行っていたため、過払い金は発生しません。将来の利息カットはできるので、支払総額を減らすことはできます。
銀行カードローンと消費者金融の債務整理の違いは?
銀行カードローンでは過払い金が発生しない
貸金業法が改正される以前には、消費者金融のほとんどで利息制限法を超える利率が設定されていました。消費者金融と古くから取引している人は、違法な利率で計算された利息を払っており、過払い金が発生している可能性があります。
消費者金融の任意整理では、超過利息分を借金の返済に充てられるので、借金の元本が大きく減ることも珍しくありません。
一方、銀行カードローンでは過払い金が発生しないので、借金の元本を減らすことはできず、消費者金融の任意整理ほどは借金が減らないことがあります。銀行カードローンの任意整理で減らせるのは将来の利息のみになります。
銀行カードローンでは保証会社がかかわってくることが多い
消費者金融のカードローンは、無担保・無保証で借りられます。債務整理するときにも、債権者である消費者金融が相手になり、消費者金融のみと交渉するのが一般的です。
銀行カードローンでも保証人は不要ですが、銀行の指定する保証会社の保証を受けるしくみになっています。保証会社が付いているので、約束どおりに支払わなければ保証会社が立て替えて銀行に払ってくれます(代位弁済)。
保証会社の代位弁済後も、決して債務がなくなるわけではなく、保証会社に返済しなければなりません。
保証会社が付いている銀行カードローンでは、任意整理を申し入れると、通常は保証会社が代位弁済します。つまり、任意整理の交渉をするときには、債権は保証会社に移っているため、保証会社を相手に交渉をしなければなりません。
このほかに、銀行カードローンでは債権回収会社(サービサー)に債権譲渡や債権回収の委託がされているケースもあります。複数の会社がかかわってくるので、消費者金融の任意整理より手続きが複雑になってしまうことがあります。
債務整理すれば預金口座が凍結される
消費者金融の借金を任意整理しても、引落口座などの預金口座に影響が出ることはありません。これに対し、銀行カードローンを債務整理すると、同じ銀行の預金口座が凍結される可能性があります。もし預金口座に残高があれば、銀行は貸付金の残高と相殺できるからです。
預金口座の凍結とは、入出金が一切できなくなってしまう状態です。生活費の出し入れもできなくなってしまうので大きな影響が出てしまうことがあります。
銀行カードローンを債務整理する際の注意点
月々の返済額はあまり減らない
銀行カードローンは金利が低い分、毎月の返済額が少なめに設定されています。任意整理では3~5年以内に返済できることが条件になるので、月々の返済額が変わらないか、逆に増えてしまうケースもあります。
銀行カードローンも任意整理をすれば将来利息をカットできる分借金は減りますが、毎月の返済が楽になるというわけではありません。
同系列の消費者金融も同時に整理が必要な場合がある
銀行カードローンには保証会社が付いているのが一般的ですが、保証会社は同系列の消費者金融であるケースが多くなっています。たとえば、三菱UFJ銀行カードローン(バンクイック)の保証会社はアコム、三井住友銀行カードローンの保証会社はSMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)です。
銀行カードローンの任意整理をするときには、保証会社である消費者金融を相手に交渉しなければならないケースがあります。もし保証会社である消費者金融からも借入をしていれば、原則としてその消費者金融からの借金も一緒に債務整理しなければなりません。
銀行カードローンのみの任意整理ではすまないことがあるので注意が必要です。
同じ銀行の預金口座にお金を残しておかない
銀行カードローンで任意整理を申し入れると、同じ銀行の預金残高と貸付金残高を相殺される可能性があります。
任意整理する銀行の口座を給与振込口座や年金受取口座に指定している場合には、あらかじめ違う銀行の口座に変更しておかなければ、生活に支障が出てしまいます。
任意整理する銀行の口座を公共料金やクレジットカードの引き落としに利用している場合にも、事前に変更しておくべきでしょう。口座残高をゼロにした状態で、任意整理に着手するのが基本です。
同じ銀行で住宅ローンなどを組めなくなる
任意整理するというのは約束どおりの返済を行わないということです。任意整理すると、その金融機関の信用をなくすことになり、新規の取引を断られる可能性があります。
銀行カードローンを任意整理した場合、同じ銀行の口座自体は利用できても、新規の借入が困難になることが予想されます。たとえば、その銀行で将来住宅ローンを利用したいと考えている場合、任意整理するとそれができなくなってしまいます。
任意整理した後5年程度は、信用情報機関に情報登録されてブラックリストに載った状態になるので、他の銀行からも借入ができません。ただし、期間が経過して信用情報機関の情報が削除されたら、他の銀行からは借入ができるようになります。
まとめ
銀行カードローンで借りたお金が返せなくなったときには、任意整理をして支払条件を変更してもらう方法があります。銀行カードローンの任意整理では毎月の返済額があまり減らないほか、銀行口座への影響もあります。
メリットとデメリットをよく考えて手続きするのがおすすめです。
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