会社設立の準備に必要な物と流れについて
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
会社設立をするとなると、準備が必要です。必要な物を確認し、全体の流れを把握した上で手続きを進めましょう。ここでは、会社設立の準備に必要な物や手続きの流れについて説明します。
目次
会社の基本事項を決定する
会社設立時に決める事項
会社設立の準備では、まず、基本的な事項を決める必要があります。特に重要な決定事項は、次のようなものです。
①商号(会社名)
会社名は、会社の顔ともなり、会社のイメージを左右するものです。個人事業を法人化するときには、個人事業の名称をそのまま引き継いでもかまいません。心機一転するために、新しい会社名にすることも可能です。
会社名には法律上の制限もあります。株式会社の場合には、会社名に必ず「株式会社」という文字を入れなければなりません。ローマ数字(Ⅰ、Ⅱなど)や一部の記号(?、!など)、会社名には使用できない文字もあります。こうした制限も確認した上で、適切な会社名を決めましょう。
なお、全く同一住所でない限り、他社と同じ商号でも登記はできます。しかし、不正競争防止法や商標法にもとづき損害賠償や差し止めを請求される可能性がありますから、同一・類似の商号を調査しておくことも必要です。
②目的
会社を設立するときには、「その会社で何をするか?」という目的を決めて登記しなければなりません。目的として登記されていない事業は基本的にできないので、将来行う可能性も考えて目的を決めておく必要があります。
許認可が必要な事業を行う場合には、その事業が目的として定款に記載されていなければ、許認可を取得できません。後で目的を変更することもできますが、時間や手間、費用がかかってしまいます。業種によっては他の事業との兼業が禁止されていることもありますから、慎重に検討しましょう。
③本店所在地
会社の本店の場所をどこにするか決めます。自宅を本店にすることも可能です。ただし、自宅が賃借物件の場合には、契約上事務所としての使用が禁止されていないかを確認しておきましょう。貸事務所を借りて本店にする場合には、登記可能かどうかの確認が必要です。
会社の印鑑も用意しておく
会社設立時には、印鑑も準備しておく必要があります。会社の印鑑(代表者印)は、法務局で印鑑登録が必要です。印鑑登録は設立登記申請と同時に行うので、それまでに印鑑を用意しておきましょう。代表者印のほか、銀行印、角印、ゴム印も作っておくのがおすすめです。
定款の作成・認証手続きをして資本金を払い込む
法律上のきまりに従って定款を作成
会社の基本事項が決まったら、定款を作成します。定款とは、会社の基本的なルールを定めたもので、設立時には必ず作成しなければなりません。定款に記載する事項には次の3種類があり、それぞれきまりに従って記載します。
①絶対的記載事項…記載しておかなければ定款自体が無効になる事項
例)目的、商号、本店など
②相対的記載事項…決めた以上記載しておかなければ有効にならない事項
例)株式譲渡制限に関する規定、役員の任期の伸長など
③任意的記載事項…決めたとしても、必ず定款に記載しなくてもかまわない事項
例)事業年度、定時株主総会の招集時期など
定款作成後は公証役場で認証を受ける
株式会社の場合、作成した定款には、公証人の認証を受けなければなりません。定款認証は、本店所在地を管轄する法務局に所属する公証人に認証してもらいます。本店の近くで依頼できる公証役場を探しましょう。
定款認証の際には、定款3通のほか、発起人全員の印鑑証明書が必要です。また、公証人の認証手数料(約5万2,000円)と収入印紙代(4万円)がかかります。
電子定款に認証を受けることも可能
公証役場で定款認証を受ける方法には、紙に印刷した定款に認証を受けてもらう方法以外に、パソコンで作成した定款に電子認証を受ける方法(電子定款)があります。電子定款を選択する場合には、必要なソフトなどを用意した上で、法務大臣から指定を受けた公証人(指定公証人)に依頼しなければなりません。
電子定款を選んだ場合には、紙の定款の際に必要な収入印紙代(4万円)が不要になるというメリットがあります。
資本金は発起人の口座に払い込む
定款の認証が完了したら、出資の履行(資本金の払い込み)を行います。資本金は、定款の認証日以降に、発起人の代表者の口座に入金します。定款認証が完了した段階ではまだ会社は誕生しておらず、会社名義の口座は作れないからです。
既に持っている口座を利用する場合でも、残高をいったん0円にする必要はありません。ただし、資本金相当の残高があるだけでは資本金の払込があったかどうかがわからないので、いったん資本金額を引き出すか他から用意し、入金する必要があります。
資本金払込証明書を作成
資本金の払い込みが終わったら、払い込みをした通帳のコピーをとって、資本金払込証明書を作成します。資本金払込証明書は、設立登記申請の際に提出が必要です。
会社の設立登記をする
会社は設立登記により誕生する
会社は、法務局で設立登記をすることにより誕生します。会社の代表者は、資本金の払い込みをした後2週間以内に、本店の所在地を管轄する法務局で設立登記申請をしなければなりません。
設立登記が完了するまでには1週間程度かかりますが、会社の設立日は登記申請をした日になります。設立日にこだわりたい場合でも、法務局が休みの土日祝日を設立日にすることはできません。
設立登記の申請方法
登記申請書は窓口に直接提出する以外に、郵送で提出することも可能です。オンライン申請もできますが、専用のソフトをダウンロードするなどの準備が必要になります。
設立登記の必要書類
設立登記に必要な書類は、会社の形態や出資方法などによって異なりますが、主に次のようなものです。
○登記申請書及び登録免許税納付用台紙
定められた様式に従って登記申請書を作成します。登記申請時には登録免許税を収入印紙で納めなければならないので、申請書とは別に登録免許税納付用台紙を用意し、税額分(多くの場合15万円)の収入印紙を貼付します。
○定款
公証人認証済みの定款の謄本を添付します。
○発起人の決定書
本店の所在地について、定款では最小行政区画まで定めたのでかまわないとされています。この場合には、発起人の過半数の一致で具体的な場所を決定し、発起人の決定書を作成して提出します。
○就任承諾書
設立時役員(取締役、代表取締役、監査役)の就任承諾書を提出する必要があります。
○印鑑証明書
取締役全員の印鑑証明書が必要です。
○資本金払込証明書
資本金を払い込んだ通帳のコピーを使って、代表取締役が証明する形の払込証明書を作成し、提出します。
○登記すべき事項を保存したCD-Rなど
登記すべき事項を電磁的記録媒体(CD-R、DVD-Rなど)に保存したものを提出する必要があります。
○印鑑届書
会社設立時には、会社の印鑑を法務局に登録します。印鑑届書に準備した会社代表印を押し、提出します。
登記申請後の流れ
設立登記申請後、登記官の審査が行われます。不備があり補正を命じられた場合には、指示に従って補正をしなければなりません。
設立登記が完了したら、登記事項証明書を取得します。登記事項証明書は、税務署への届出や銀行口座開設などの手続きの際に必要です。
まとめ
会社設立の準備では、いくつもの手続きがあります。必要書類も用意しなければなりませんから、あらかじめ全体の流れを把握し、効率よく手続きを進めましょう。設立登記までスムーズに終わらせたいという方は、司法書士に手続きをご依頼ください。
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