企業支援制度の上手な活用法
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
起業支援制度とは、国や自治体、その他の団体などが、新たに起業したいという人のために、主に資金面での援助を行う制度です。 起業支援制度は、大きく分けて、お金をもらえるものとお金を貸してもらえるものの2つに分かれます。
ここでは、起業支援制度について説明しますので、起業の際に活用できるものがないかを確認してみましょう。
目次
起業支援制度の基本は給付金
起業の際にもらえるお金がある
起業支援制度には、お金をもらえる給付金タイプのものがあります。起業するだけでお金をもらえるのであれば、ぜひもらいたいと誰もが思うものですが、もちろん誰でももらえるわけではなく、給付金をもらうには様々な要件をみたす必要があります。
起業支援制度を利用するなら、まず給付金がもらえる要件に該当していないかどうかを確認してみましょう。
補助金・助成金とは?
起業の際にもらえる給付金は、一般に、補助金もしくは助成金と呼ばれています。補助金と助成金を明確に分ける定義はありませんが、それぞれ次のような特徴があります。
<補助金>
助成金に比べて受給難易度が高い。予算の上限が確定しており、申請期間も短いため、申請してももらえないことも多い。国から受けられるものは、経済産業省が管轄になっている。
<助成金>
補助金に比べて受給難易度が低い。随時あるいは長期間受付しており、要件をみたしていればもらえる可能性が高い。国から受けられるものは厚生労働省が管轄となっている。
補助金・助成金の種類
補助金・助成金には、次のような(1)~(4)のような種類があります。
(1) 経済産業省の補助金
国から出される補助金は、経済産業省または経済産業省の外局である中小企業庁が管轄になっています。主なものは次のとおりです。なお、各補助金は不定期で実施されており、追加募集もあるため、公募期間や補助内容等の詳細については随時確認する必要があります。
①創業補助金・事業承継補助金
中小企業庁が実施するもので、創業補助金は新たに創業する人に、事業承継補助金は事業承継を機に新たな取り組みを行う中小企業に資金援助を行うものです。
②小規模事業者持続化補助金
経営計画にもとづき、商工会議所の支援を受けながら実施する販路開拓等の取り組みに対して、50万円(補助率3分の2)を上限に補助金が出されるものです。
③ものづくり補助金
中小企業庁がものづくりに取り組む中小企業を支援するために実施している補助金制度(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金)になります。
(2) 厚生労働省の助成金
国から出される助成金は厚生労働省が管轄になっており、以下のようなものがあります。
①トライアル雇用助成金
若年者、中高年者、母子家庭の母等就職困難な求職者を一定期間試用雇用した場合、1人につき月額4~5万円が支給されます。
②キャリアアップ助成金
非正規労働者の企業内でのキャリアアップを促進する取り組みを行った事業主に対し助成金が支給されます。
(2) 自治体独自の補助金・助成金
都道府県や市区町村などでも、独自に補助金・助成金事業を実施している場合があります。
(3) その他の補助金・助成金
各種の財団、政府系金融機関、大手民間企業などでも助成金事業が行われています。
補助金・助成金の注意点
補助金・助成金としてお金をもらえることになった場合、そのお金の使いみちはきちんと報告しなければなりません。書類の書き方などにもきまりがありますので、手間がかかってしまい、事務作業が増えてしまうことになります。
また、補助金・助成金は、基本的には実際にお金を使った後、使いみちを報告してからもらうことになります。つまり、後払いですから、必要なお金は一旦立て替えておかなければなりません。
起業支援の給付金を受けるには
補助金や助成金といった給付金は返さなくてもよいお金なので、当然人気があります。特に、補助金は採択率が低く、申し込みをしても採択されないことも多くなっています。
起業の際に補助金等の利用を考えている場合には、専門家のサポートを受けながら申請書や事業計画書を用意するのがおすすめです。
創業融資の利用は将来的な返済が必要
創業融資とは
資金調達のために、金融機関から融資を受けるという選択もあります。しかし、金融機関から融資を受けるためには、信用が欠かせません。起業したばかりでは実績がありませんので、信用が得られず、融資を受けるのが困難になってしまいます。
創業間もない経営者がお金を借りやすいようにと国や自治体で用意されているのが創業融資の制度です。創業融資は創業時にのみ利用できるもので、金融機関で通常の借入をするよりも有利な条件で融資が受けられます。一般に、創業融資と呼ばれるものは、次の2つになります。
(1) 日本政策金融公庫の新創業融資制度
無担保・無保証人で3000万円(うち運転資金1500万円)までの融資が受けられます。
(2) 自治体の「制度融資」
市区町村などの自治体の中小企業振興政策などにより、自治体、金融機関、信用保証協会の3者が協力して実施しているものです。 自治体が金融機関に一定の資金を預託することにより、中小企業が低金利で融資を受けられるしくみになっています。金利や保証料の一部を自治体が負担するものもあります。
創業融資を利用する際の注意点
創業融資は補助金・助成金と違い、将来的に返済しなければならないお金です。返済できる見込みがなければ、お金を借りることはできません。創業融資の申し込みの際には返済計画も含めた事業計画書を提出し、審査を受けることになります。
誰が見ても実現可能であり、金融機関を納得させられる事業計画書を出せるかどうかが、創業融資を受けるポイントとなります。起業の際に、創業融資を検討している場合には、専門家に相談しながら事業計画書等の書類を準備するのがおすすめです。
自治体によって起業支援制度は異なる
自治体独自の起業支援制度を確認
都道府県や市区町村などの自治体では、独自の起業支援制度を設けています。各自治体のホームページなどで情報が得られますから、起業の際にはチェックしておきましょう。
たとえば、東京都では、「東京都創業NET」という起業支援サイトが設けられており、融資制度や助成制度に関する情報も掲載されています。【参考】:東京都創業NET
地域活性化のための起業支援制度もある
都市部との格差が問題になっている地方においては、雇用の増加を目的として、企業の誘致や創業支援に積極的です。そのため、地域活性化のための起業支援制度を利用して、地方で起業するという方法もあります。地方で起業すれば、賃料や人件費も安いため、起業コスト自体を抑えることができます。
起業支援制度の情報を逃さないために
自分にとって都合がよい起業支援制度が実施されているか、公募期間はどうなっているかなどの情報をこまめにチェックするのはなかなか大変です。会社等の設立の際に専門家のサポートを受ければ、起業支援制度の情報が得られるだけでなく、補助金・助成金・創業融資等の申請手続きのサポートも受けられます。
起業の際に自己資金があまり用意できない場合、起業支援制度を利用することで資金調達が可能になります。国や自治体で設けられている起業支援制度は、毎年内容が変わりますので、タイミングを逃さないよう最新の情報を入手しておく必要があります。
起業や会社・法人設立に関しては、専門家に細かくサポートを受けながら進めるのが確実です。
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