債務整理にかかる期間はどのくらい?
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
借金問題を解決するために、債務整理を検討している方もいらっしゃると思います。借金の悩みからはできるだけ早く解放されたいものですが、債務整理にかかる期間はどれくらいなのでしょうか?ここでは、債務整理にかかる期間についてまとめていますので、参考にしていただければ幸いです。
目次
任意整理の手続き期間
任意整理の流れ
任意整理は裁判所を通さずにできるので、スピーディーに手続きを完了させることができます。任意整理の大まかな流れは次のようになっています。
①司法書士等に依頼
任意整理は、司法書士または弁護士に依頼する必要があります。通常は初回面談を行った後、委任契約を結んで正式に依頼することになります。
②受任通知の発送・取引履歴の開示請求
依頼を受けたらすぐに、司法書士または弁護士から債権者である貸金業者宛に受任通知を発送します。以降、任意整理完了まで返済をストップさせることができます。
通常は受任通知発送時に、取引履歴の開示請求も同時に行います。
③取引履歴の入手・引き直し計算
取引履歴が届くまでの期間は、貸金業者によってばらつきがあります。2週間くらいで届くところが多いですが、1ヶ月以上かかるところもあります。
取引履歴を入手した後、契約金利が利息制限法の上限を超えているようであれば、過払い金の有無を確認し、引き直し計算を行って残りの借金の額を確定させます。
④貸金業者と交渉・和解成立
貸金業者に残債務の支払方法について和解案を提示し、交渉を行います。和解が成立すれば、和解書(合意書)を取り交わします。
⑤返済開始
和解後は、和解契約にもとづき返済を開始します。
任意整理にかかる期間
任意整理の手続きにかかる期間は、3~6ヶ月程度になります。業者の対応が早く、スムーズに交渉が成立すれば、かなり早く手続きが終わることもあります。
個人再生の手続き期間
個人再生の流れ
個人再生を司法書士や弁護士に依頼した場合の大まかな流れは、次のようになります。
①~③ 任意整理と同様
④裁判所へ申立て
申立書を作成し、必要書類を揃えて地方裁判所へ申立てします。
⑤個人再生委員の選任・打ち合わせ
東京地裁では個人再生委員が必ず選任されますが、他の裁判所では選任されないこともあります。個人再生委員が選任された場合には、個人再生委員と打ち合わせを行います。
⑥個人再生の開始決定
手続きに問題がなければ、開始決定が出ます。
⑦債権届出
申立書に添付した債権者一覧表に記載された債権者が、債権の有無や債権額を確認し、債権届出を行います。
⑧再生計画案の提出
確定した債権額にもとづき、再生計画案を作成し、裁判所に提出します。
⑨再生計画案の認可決定
再生計画案に問題がなければ裁判所は認可決定を出します。
⑩返済開始
認可決定後は、再生計画に従って返済を開始します。
個人再生にかかる期間
個人再生は上記のとおり、任意整理と比べて手続きが複雑になっており、その分手続き期間もかかることになります。少なくとも6ヶ月程度はかかりますが、1年程度かかることもあります。
自己破産の手続き期間
自己破産の流れ
自己破産を司法書士や弁護士に依頼した場合、手続きの大まかな流れは次のようになります。
①~③ 任意整理と同様
④裁判所へ申立て
申立書を作成し、必要書類を揃えて地方裁判所に申立てをします。
⑤破産の審尋
裁判官と面接を行います。弁護士に依頼した場合には、債務者本人に代わって弁護士が審尋を受けます。
⑥破産手続開始決定
換価するほどの財産がある場合には管財事件となり、破産手続開始決定後に財産の清算手続きを行います。それ以外の場合は同時廃止となり、破産手続開始と同時に破産手続終了となります。以下は同時廃止事件の流れになります。
⑦免責審尋
指定された日時に裁判所へ行き、裁判官と面接します。弁護士に依頼した場合には、弁護士が同行します。
⑧免責許可決定
免責許可が下りると、債務が免除されます。
自己破産にかかる期間
自己破産の手続きにかかる期間は、同時廃止事件の場合には3~6ヶ月程度、管財事件の場合には6ヶ月~1年程度となっています。
特定調停の手続き期間
特定調停の手続きの流れ
特定調停は、調停の場で債権者と返済方法を話し合うものです。特定調停の大まかな流れは次のようになります。
①調停の申立て
申立書を作成し、必要書類を添付して、簡易裁判所に申立てをします。
②調停期日
調停委員が間に入り、返済方法の調整を行います。通常は2回程度調停期日が開かれます。
③調停成立
調停が成立すれば、調停調書が作成されます。折り合いがつかない場合には、不成立になって終了します。
④返済開始
調停成立後は、調停で合意した内容どおりに返済を行います。
特定調停にかかる期間
特定調停は裁判所を通した手続きですが、裁判所で債権者と話し合うだけなので、比較的スピーディーに終わります。早ければ3ヶ月程度、通常は4~5ヶ月以内に終わります。ただし、2回程度調停期日を行っても合意できない場合には、合意できないまま終わってしまうことになります。
債務整理後の返済期間はどのくらい?
自己破産以外の手続きでは、債務が免除になるわけではないので、債務整理後に返済を行わなければなりません。債務整理後の返済期間は、以下のようになっています。
任意整理の返済期間
任意整理では、通常、3~5年で返済ができなければ貸金業者と和解ができません。つまり、任意整理の返済期間は3~5年程度になります。
個人再生の返済期間
個人再生の返済期間は、原則3年、特別な事情がある場合には5年となっています。3~5年の返済期間中、再生計画どおりの返済を行えば、残りの債務が免除されることになります。
特定調停の返済期間
特定調停でも、任意整理と同様、3~5年で返済ができなければ債権者と合意できません。そのため、特定調停の返済期間は3~5年ということになります。
借り入れ制限期間はどの程度続くの?
債務整理をすればブラックリストに載る
債務整理をした場合、どの方法を選んでも、ブラックリストに載ってしまうというデメリットがあります。ブラックリストに載るとは、個人信用情報機関に事故登録されるという意味です。
貸金業者が融資の審査を行うときには、個人信用情報機関で申込者の信用情報の照会を行います。もし事故情報が登録されていれば、融資の審査に通りません。つまり、ブラックリストに載っている間は、新たにカードを作ったりローンを組んだりできないということになります。
ブラックリストに載っている期間
個人信用情報機関には、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(全銀協)の3つがあります。各信用情報機関では、情報の種類ごとに保有期間を定めており、期間が経過すれば情報を削除しています。
事故情報の保有期間は、JICC、CICCでは最長5年となっています。全銀協においては、自己破産・個人再生の情報(官報情報)については最長10年保有されることになっています。
債務整理の手続きは、期間がかかるものでも1年程度で終わります。債務整理をすればブラックリストに載ってしまいますが、永久に載り続けるわけではなく、5年程度でブラックリストの情報も削除されます。
早く債務整理にとりかかれば、借り入れ制限も早くなくなります。債務整理をお考えの方は、今すぐご相談ください。
お探しの記事は見つかりましたか?
関連する記事はこちら
お客様の生の声
コラムカテゴリー

- トップページ
- はやみず総合事務所について
- お客様の生の声
業務内容・サービス紹介
- 法人向けサービス
よくあるご質問
- よくあるご質問
コンテンツ
- プライバシーポリシー
- 求人情報
新着情報
2024/12/28
年末年始の営業のお知らせ2024/07/24
資格予備校のアガルートアカデミー公式サイトに特別インタビューが掲載されました。2024/03/02
【解決事例】前妻の子が共同相続人になるケース2024/01/24
売れない「負動産」を相続した際の対処方法を司法書士が解説