相続税対策で生命保険が活用される理由を徹底解説
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。


目次
相続税が課税される財産は2種類

相続の際、被相続人の残した財産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出される基礎控除額を超える場合には、相続税が課税されます。ここで、相続税が課税される財産には、「相続財産」と「みなし相続財産」があることを知っておきましょう。
相続財産
預貯金、不動産、有価証券、著作権、貴金属など、金銭で評価できるものはすべて相続財産に含まれます。 また、以下のものについては、民法上の相続財産ではありませんが、相続税の課税対象となります。
- 相続開始前3年以内の生前贈与により取得した財産
- 相続時精算課税制度により贈与を受けた財産
みなし相続財産
被相続人の死亡を原因として相続人に支払われた生命保険金や死亡退職金です。生命保険金や死亡退職金は、民法上は相続財産ではありません。しかし、相続税法上は相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります。
生命保険が相続税対策になる4つの理由とメリット

生命保険の保険金(死亡保険金)は相続税が課税される「みなし相続財産」ですが、相続税対策に利用することもできます。生命保険が相続税対策になるのは、次のような理由からです。
相続財産を減らせる
生命保険に加入したら、保険料を払わなければなりません。保険料を払うことで、手元の現金が減り、結果として相続財産を減らせます。
相続人が保険金を受け取れば一定額まで非課税になる
相続人が受け取った生命保険金(死亡保険金)については、「500万円×法定相続人の数」まで非課税になる扱いになっています。
たとえば、被相続人に配偶者と子供2人がいる場合、法定相続人の数は3人なので、非課税枠は1,500万円です。相続人が受け取った保険金のうち1,500万円までは、課税財産に含めなくてもかまいません。
生前贈与を活用して節税もできる
生命保険の保険料を相続人に生前贈与して、相続税を減らす方法も利用できます。この場合、
まず契約者かつ受取人を将来の相続人にして生命保険契約を結びます。保険料を生前贈与すれば贈与税がかかりますが、贈与税には年間110万円の非課税枠があるため、非課税枠内の贈与なら税金がかかりません。
なお、将来相続人が受け取る保険金は、一時所得として所得税・住民税の課税対象になりますが、相続税を軽減する効果の方が大きくなるのが一般的です。
納税準備資金を用意できる
相続税は現金納付が原則です。たとえば、相続財産が不動産に偏っている場合、不動産を売却しなければ納税資金が準備できないケースがあります。相続人を受取人にして生命保険に加入していれば、相続人は受け取った保険金を使って納税ができます。
相続税対策におすすめの生命保険とは?

生命保険の種類は、主に次の3つです。
種類 | 概要 |
---|---|
定期保険 | 保険期間内に死亡すれば保険金が支払われる |
養老保険 | 保険期間内に死亡すれば保険金が支払われ、保険期間満了時に生存していれば満期保険金が支払われる |
終身保険 | 途中で解約しない限り、いつ死亡しても保険金が支払われる |
このうち、相続対策に向いているのは、保障が一生涯続く終身保険です。終身保険に加入していれば、いつ相続が開始しても、相続人は保険金を受け取れます。 特に、保険料を加入時に一括で支払う一時払い終身保険は、病歴がある人や高齢の人でも入りやすいため、相続税対策に利用しやすいでしょう。
相続税対策で生命保険に加入した際のデメリットとは?

相続税対策で生命保険に加入した場合、以下のようなデメリットがあることにも注意しておきましょう。
受取人が相続放棄すれば非課税にならない
生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。ただし、非課税を適用できるのは、相続人が受け取った生命保険金のみです。受け取った人が相続放棄をした場合には、その人の受け取った生命保険金は非課税枠に含めることができません。
途中解約すると元本割れすることがある
終身保険を途中で解約した場合、解約返戻金の額は払った保険料を下回ることがあります。相続開始前に保険を解約しなければならないような事情が生じた場合には、預貯金に預けていた場合と違い、元本割れしてしまうことを認識しておきましょう。
遺産分割でトラブルになることも
相続人を受取人として生命保険に加入した場合、保険金はその相続人固有の財産となり、遺産分割の対象外です。一部の相続人だけが生命保険金を受け取った場合、相続人の間で不公平感が生じ、相続トラブルに発展することがあります。
保険会社が破綻することもある
保険会社も一企業ですから、倒産する可能性もあります。生命保険会社は生命保険契約者保護機構への加入が義務付けられており、契約者が保護される仕組みは設けられていますが、保険金の全額が保障されるわけではありません。保険会社が倒産した場合には、財産が減ってしまうリスクもあることを知っておきましょう。
まとめ

相続財産が基礎控除額を超える場合には、相続税対策も考えておきましょう。相続税対策のためには、生命保険が有効な場合があります。ただし、生命保険加入にもデメリットがないわけではありません。相続税対策にはいろいろな方法があるので、専門家に相談しながら総合的に検討するのがおすすめです。
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