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会社設立登記に必要な書類と費用。見落としがちな申請期限

監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。

会社を設立するには、設立登記の手続きが必要です。会社設立登記を行う際には、様々な書類を用意して手続きしなければなりません。

ここでは、会社設立登記に必要な書類や手続きの大まかな流れ、会社設立の際にかかる費用について説明します。

会社設立代行サービス

会社設立登記までの流れ

会社設立届出書

株式会社を設立する方法には、「発起設立」と「募集設立」の2つの方法がありますが、通常は、発起設立で設立することになります。発起設立とは、お金を出した人全員が「発起人」となる設立方法です。

発起設立の場合、会社を設立するまでは、大まかには次のような流れになります。

1. 設立事項を決める

まず、どんな会社にするかを決めます。決める内容は、商号(会社名)本店所在地事業目的資本金役員などになります。

2. 定款を作成する

定款は会社の基本的なルールをまとめたものになります。定款には決まった書式はありませんが、絶対的記載事項(必ず記載しなければならない事項)、相対的記載事項(記載しておかなければ有効にならない事項)、任意的記載事項(記載してもしなくてもいい事項)がありますので、注意して作成する必要があります。

3. 定款の認証を受ける

定款作成後に、公証役場で公証人の認証を受ける必要があります。定款の認証を受ける場合には、紙に印刷した定款を認証してもらう従来の方法のほか、コンピュータで作成した電子定款を公証役場にオンライン送信して認証してもらう方法があります。

4. 資本金の払込をする

定款認証の手続き完了後、資本金を発起人の代表者の個人口座に振り込みます。

5. 法務局で設立登記をする

会社の設立手続きは、法務局で設立登記を行うことで完了します。設立登記は、登記申請書を作成し、添付書類と合わせて法務局の窓口に提出して行います。

6. 税務署等への各種届出

会社を設立した後には、税金や社会保険、労働保険などに関する各種届出が必要となります。

法務局での会社設立登記に必要な書類一覧

会社設立関連書類

会社設立登記を行う際には、次のような書類が必要になります。

株式会社の必要書類

登記申請書

定められた書式に従って登記申請書を作成します。登記申請書は、通常はパソコン等で作成しますが、手書きでもかまいません。ただし、鉛筆書きは不可なので、黒インクのボールペンなどを使って書きます。用紙は一般的な白のコピー用紙でかまいませんが、サイズはA4と決まっています。

登記申請書の書式や記載例については、法務局のサイトで確認できます。

法務局サイト(商業・法人登記の申請書様式)

登録免許税納付用台紙

登記申請の際には、登録免許税を収入印紙で納めます。この収入印紙を貼付するための台紙を作成して登記申請書に添付します。

OCR用申請用紙または磁気ディスク(CD-Rなど)

文字を読み取るOCR専用の登記申請用紙を法務局の窓口で入手し、これに登記すべき事項を記載して登記申請書に添付します。

OCR用申請用紙を提出する代わりに、CD-R等の磁気ディスクに記載して提出してもかまいません。

定款

公証人の認証済みの定款を添付します。紙の定款の場合には定款の謄本、電子定款の場合には磁気ディスクを提出します。

払込証明書

払込証明書は、資本金の払込があったことを証明する書面になりますので、資本金の払込がされた発起人代表者の通帳のコピーを一緒に綴じて作成します。

発起人の決定書

会社の本店所在地について、定款では最小行政区画までの記載(例:「東京都新宿区」など)でかまわないことになっています。定款で本店所在地を最小行政区画までしか記載していない場合には、本店の具体的な所在地を発起人の過半数の一致で決定した「発起人の決定書」を添付します。

発起人の決定書には、発起人全員が押印します。

就任承諾書

設立時の取締役、代表取締役、監査役の就任承諾書を添付します。取締役が1名の場合には、その人が当然に代表取締役になるため、代表取締役の就任承諾書は不要です。

複数の取締役のうち1名が代表取締役になる場合には、代表取締役になる人は、取締役の就任承諾書と代表取締役の就任承諾書の両方が必要です。

取締役の印鑑証明書

取締役会を設置していない会社の場合には、取締役全員が就任承諾書に取締役個人の実印を押したうえで印鑑証明書を添付する必要があります。

取締役会を設置している会社の場合には、代表取締役のみ就任承諾書に実印を押す必要があるため、代表取締役の印鑑証明書のみが必要になります。

監査役や取締役の本人確認証明書

会社に監査役を置く場合や、取締役会設置会社の代表取締役でない取締役については、「本人確認証明書」の添付が必要となります。

本人確認証明書の具体的な内容は以下のとおりです。

  • 住民票
  • 戸籍の附票
  • 住基カードの表面・裏面のコピー※
  • 運転免許証等の表面・裏面のコピー※
  • マイナンバーカードの表面のコピー※

「原本と相違がない。」と記載し記名押印する必要があります。

その他の必要書類

資本金に現物出資がある場合には、調査報告書、財産引継書、資本金の額の計上に関する証明書が必要になります。

印鑑届書

会社の実印(代表者印)は法務局に登録する必要があります。通常は、設立登記申請時に、印鑑届書を同時に提出して印鑑登録を行います。印鑑届書の用紙は法務局で用意されています。

印鑑届書には、代表取締役個人の実印も押印し、代表取締役個人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)を添付します。

【ダウンロードはこちらから】
PDF  Excel  記載例

会社設立代行サービス

合同会社の必要書類

合同会社は2006年(平成18年)施行の新会社法によって認められるようになった新しい会社の形態で、株式会社の簡易版のようなものです。合同会社を設立する場合には、設立時の定款認証も不要で、株式会社よりも設立手続きにかかる費用も安く抑えられるというメリットがあります。

合同会社の場合、出資者は株主ではなく社員となり、設立時に必要になる書類は次のようになっています。

  • 登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • OCR用申請用紙または磁気ディスク(CD-Rなど)
  • 定款(公証役場での認証は不要です。)
  • 払込証明書
  • 代表社員、本店所在地及び資本金の決定書
  • 代表社員の就任承諾書
  • 代表社員の印鑑証明書
  • 資本金の額の計上に関する代表社員の証明書
  • 印鑑届書

会社設立登記の申請手続き

法人登記申請手続き

会社設立登記の申請方法

会社設立登記は、会社の本店所在地を管轄する法務局に、登記申請書及び添付書類を提出して行います。登記申請書類は、法務局が審査しやすいように順番に綴じて製本する必要があります。

登記申請書類は、窓口に持ち込むほか、郵送での提出も可能になっています。

設立登記申請の期限

設立時取締役の調査完了日もしくは発起人が定めた日から2週間以内に設立登記を申請する必要があります。期限を過ぎてからの登記申請も可能ですが、法律上は、期限を過ぎてしまうと、登記懈怠として過料(罰金)の対象となることになっています。

会社設立登記にかかる費用

費用

定款認証までにかかる費用

会社設立登記を行う前提として、定款の認証手続きを行わなければなりません。定款認証の際には、次のような費用がかかります。

公証役場に支払う認証手数料・謄本代(約5万2000円)

公証役場での定款認証手数料は5万円になります。このほかに、定款謄本作成のための手数料として2000円程度がかかります。

定款に貼付する収入印紙代(4万円)

紙の定款を作成した場合には、4万円の印紙税が課税されるため、これを収入印紙で納める必要があります。ただし、電子定款の場合には、この印紙税は不要になります。

設立登記申請の際にかかる費用

定款認証後、法務局で設立登記申請をするときには、次の費用がかかります。

登録免許税(ほとんどの場合15万円)

設立登記申請時には、登録免許税を収入印紙で納める必要があります。登録免許税の額は、資本金の額に1000分の7をかけて算出しますが、算出された額が15万円に満たない場合には15万円となります。中小企業の場合には、たいていは15万円ということになります。

その他の費用

会社設立登記で、他にかかる費用としては、次のようなものがあります。

印鑑作成費用

会社設立時には会社の印鑑を用意する必要がありますから、印鑑の作成費用がかかります。

会社の印鑑は、実印、銀行印、角印がセットで販売されており、材質等によって数千円から2万円程度まで幅があります。

印鑑証明書・登記簿謄本等の取得費用

設立登記の際には、取締役等の印鑑証明書が必要になりますので、市区町村役場で印鑑証明書を取得する費用(1通300円程度)がかかります。このほかに、会社設立後の税務署等での手続きのために必要な登記簿謄本取得費用(1通600円)などがかかります。

司法書士等に依頼した場合の報酬

会社設立の手続きを司法書士等に依頼した場合には、10万円程度の報酬が発生します。ただし、司法書士等の事務所では電子定款に対応しており、定款認証の際の収入印紙代(4万円)が不要になることが多くなっています。

まとめ

会社設立登記の際には、上記のとおりたくさんの書類を用意しなければなりません。また、登記申請書は定められたルールに従って記載し、添付書類は順番に綴じなければならないなど、手続きには非常に手間がかかります。会社設立登記については、ぜひ司法書士にご依頼ください。

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代表プロフィール

速水 陶冶
(はやみず とうや)

東京司法書士会(登録番号 5341号)
※簡易裁判所代理権認定(認定番号 1001015号)

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