会社設立に必要な書類をわかりやすく解説
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
株式会社を設立するときには、やらなければならない手続きや準備しなければならない書類がたくさんあります。
ここでは、一般的な会社設立の方法である発起設立の場合について、会社設立手続きの流れに沿って、必要な書類や用意すべきものを説明します。
1.まずは会社の概要を決める
株式会社を設立するとなると、会社名や事業目的など、基本的な事項を決める必要があります。会社名が決まったら、会社の印鑑を準備しておきましょう。準備すべき印鑑は次のようなものです。
会社の実印(代表者印)
会社の印鑑(実印)は、代表者印とも呼ばれます。
丸印でも角印でもかまいませんが、丸印で外側に会社名、内側に「代表取締役印」と彫ってあるものが一般的です。
なお、印鑑の大きさには決まりがあり、辺の長さが1センチを超え、3センチ四方の正方形におさまるものである必要があります。
会社の銀行印
会社名義の銀行口座を作るときや手形・小切手取引をするときに使います。銀行印は実印と同様の丸印で、内側に「銀行之印」と彫られているものになります。
会社の角印
会社の認印の役割をするもので、見積書、請求書、領収書等に押印します。
ゴム印
会社の住所、商号、代表取締役名、電話番号、電話番号等が記載されているゴム印があると便利です。
2.定款を作成して認証を受ける
会社の概要が決まったら、会社のルールをまとめた定款を作成します。
定款の書き方に決まりはありませんが、必ず入れておかなければならない「絶対的記載事項」や定款に記載しておかなければ有効にならない「相対的記載事項」がありますので注意が必要です。
定款を作成したら、本店所在地を管轄する法務局に所属する公証人に依頼して、認証(※文書が正当な手続きによって作られたものであることの証明)を受ける必要があります。
定款認証手続きの際には、以下のようなものが必要になります。
定款
認証を受ける際には、定款を3部用意します。
このうち1部は公証役場保管用、1部は会社保管用になり、あと1部は設立登記に使う謄本として返却してもらうことになります。
3部とも発起人全員が実印で署名押印し、各ページに契印(割印)をします。
印鑑証明書
会社の発起人全員の印鑑証明書が必要です。
印鑑証明書は各自住所地の役所で発行してもらいます。
設立登記の際には取締役の印鑑証明書が必要になるため、発起人と取締役を兼ねる人は2通取っておくと良いでしょう。
なお、印鑑証明書は提出時から遡って3ヶ月以内に発行されたものでなければ使えませんから、手続きする時期を考えて取得しましょう。
収入印紙(4万円)
公証役場保管用の定款には、印紙税として4万円分の収入印紙を貼る必要があります。
認証費用(約5万2000円)
認証手数料として5万円と、謄本(コピー)代として約2000円程度を公証役場に支払う必要があります。認証日当日に現金で支払わなければなりませんから準備しておきましょう。
電子定款の認証を受ける場合
定款は、紙に印刷したものに認証してもらう以外に、データ形式のまま公証役場に送信し、電子認証してもらう方法があります。
電子定款認証では印紙税がかからないため、上記の収入印紙4万円が不要になります。
なお、電子定款認証手続きを行うには専用の機器が必要になりますので、司法書士や行政書士などの専門家に依頼した方が良いでしょう。
3.資本金の払込をする
定款の認証手続きが終わったら、資本金を発起人の代表者の口座に払込します。資本金は現金で出資するほか、現物出資という方法もあります。
なお、設立登記の際には、資本金の払込証明書や現物出資の調査報告書が必要になります(※下記4参照)。
4.設立登記をする
設立登記とは、商号(会社名)、目的、資本金の額、役員に関する事項などの法律で定められた事項を登記簿に記載してもらう手続きになります。
設立登記手続きは、本店所在地を管轄する法務局で行います。
設立登記を行う際には、以下のような書類が必要になります。
登記申請書
A4の横書きで作成する必要があります。パソコンでも手書きでもかまいませんが、鉛筆は不可で、黒インクを使う必要があります。
訂正するときにも「○字削除」「○字加筆」と記載しなければならないなど、記載の仕方に厳格なルールがあります。
登記申請書には、OCR用申請用紙(または磁気ディスク)、登録免許税納付用台紙も添付します。
定款
公証役場で認証済みの定款(謄本)を添付します。
払込みがあったことを証する書面
資本金が振込された通帳のコピーを使って払込証明書を作成します。通帳の表紙、裏表紙、入金のあったページのコピーをとり、製本して各ページに契印します。
設立時役員の就任承諾書
取締役、代表取締役、監査役については、就任承諾書が必要です。
なお、取締役が1名の場合にはその人が自動的に代表取締役となるため、代表取締役としての就任承諾書は不要です。
取締役全員の印鑑証明書
取締役全員の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)が必要です。
ただし、取締役会を設置する会社では、代表取締役の印鑑証明書のみでかまいません。
発起人の決定書
定款で本店所在地を「東京都新宿区」など最小行政区画までしか定めていない場合には、発起人の過半数で本店の場所(番地まで)を決めたことがわかる「発起人の決定書」が必要になります。
登録免許税
登記の際には登録免許税がかかり、収入印紙で納める必要があります。
登録免許税は、資本金の額の1000分の7(100円未満の端数は切り捨て)で、算出した額が15万円に満たないときは15万円となります。
収入印紙は登録免許税納付用台紙に貼って、登記申請書、添付書類と一緒に製本します。
印鑑届出書
会社の実印(代表者印)は、法務局で設立登記と同時に印鑑登録します。そのため、印鑑届出書を作成して提出することになります。
以上のほか、現物出資(資本金を現金以外のもので出資すること)がある場合には、次のような書類も必要になります。
調査報告書
現物出資があった場合には、価額が相当かについて取締役が調査し、調査報告書を添付します(※現物出資の額が500万円を超える場合には、別途手続きが必要になります)。
資本金の額の計上に関する証明書
払込があった資本金の額を法律に従って計上したことについて、代表取締役の証明書が必要です。
5.各種届出を行う
設立登記が完了したら、正式に会社が誕生します。なお、会社の設立日は登記申請日になります。
会社設立後には税務署や年金事務所へ届出等の手続きがありますので、以下のような書類を取得する必要があります。
登記事項証明書(登記簿謄本)
税務署等への届出、許認可申請、銀行口座の開設などの際に、登記事項証明書が必要になります。
登記事項証明書は、登記簿謄本とも呼ばれ、法務局で取得できます。
会社の印鑑証明書
会社が不動産の売買契約などを行うときには印鑑証明書が必要になります。
印鑑証明書は、法務局から印鑑カードの交付を受け、それを使って取得します。
まとめ
会社設立の際には、上記のように数多くの書類が必要になります。
会社設立時はただでさえ事業が軌道に乗って忙しい時期ですから、書類の取り寄せや文書の作成に手間や時間をかけていられないことが多いはずです。
会社設立を当事務所にご依頼いただければ、面倒な手続きをすべて代行いたします。
電子定款にも対応していますので、費用面でのメリットもあります。
当事務所では、設立前の準備、定款の作成・認証、設立登記のほか、設立後のサポートも可能な限り行っています。
会社設立をお考えの方はぜひご相談ください。
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