契約書の作成でゼッタイにやってはいけないこと、やるべきこと
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
日常生活やビジネスにおける取引の場面で、誰かとの間に守らなければならない約束事をするときがあります。このような約束事を書面にしたものが「契約書」です。
契約書を作るときには、絶対にこう書かないといけないという決まりはありませんので、あまり難しく考える必要はありません。まずは、契約書にどんなことを書くべきか、書いたらいけないことはどんなことか、などのポイントを押さえておきましょう。
目次
契約書は何のために作る?
そもそも、契約書が必要かどうかで悩むことも多いと思います。契約をしたら、必ず契約書を作成しなければならないわけではありません。民法では、契約が成立するためには「申込み」と「承諾」という互いの意思表示があればOKとされており、口約束でも契約は成立するのが原則です(例外的に、個々の法律などにより契約書の作成が義務付けられているものも一部あります)。
しかし、契約書を作っておかなければ、契約内容について問題が生じたときに、それを証明するものがありません。契約書があればそれが証拠になりますから、契約を結んだときには、できるだけ書面にしておくのが安心です。
一般的な契約書の構成
契約書の書式は厳密に決まっているわけではありませんが、一般的には、以下のような構成にすることが多くなっています。
タイトル
「売買契約書」「賃貸借契約書」などの標題をつけます。
前文
当事者は誰なのか、何のために契約を締結するのかを書きます。
当事者については、通常は2回目以降「甲」「乙」といった略称を使いますから、誰が「甲」で誰が「乙」なのかを明記します。
本文
契約の内容について書く、最も重要な部分になります。
契約書はそもそも契約内容について争いになることを防止するために作るものですから、記載内容があいまいであれば意味がありません。できるだけ具体的な記載を心がけましょう。
末文(後文)
契約書を何通作成して誰が所持しておくかを書きます。
一般的には、当事者の数だけ契約書を作成し、それぞれが持っておく形にする場合が多いです。
作成年月日
契約日として、契約書に押印する日付を書きます。
当事者の署名(記名)・押印
当事者名を最初から印刷しておく「記名」の場合には押印が必要です。
署名の場合には押印はなくてもかまいません。
本人の意思で作ったという信用性をできるだけ高くするためには、「署名+押印」の形にしておくのが望ましいと言えます。
契約書に盛り込んでおくべきこと
契約書に記載する契約内容は自由ですが、トラブルを防止するためには、少なくとも以下のような事項を盛り込んでおくと良いでしょう。
履行期限・契約期間
売買など1回限りの契約の場合には、いつまでに履行するのかという期限を記載します。
賃貸借や継続的取引などの場合には、契約がいつからいつまで存続するのかという契約期間を明確にし、必要に応じて更新についても記載しておきます。
契約解除について
どんな場合に契約を解除できるのかを書きます。
損害賠償
当事者のどちらかが約束を守らなかった場合の損害賠償金額をあらかじめ決めておくことができます。
裁判管轄
契約内容について争いになった場合、どこの裁判所に訴えを起こすかをあらかじめ当事者同士で決めておくことができます。
当事者同士が離れた場所に住んでいるときには、合意の上で裁判管轄を決めておく必要性が高いと言えます。
契約書に書いてはいけないこと
契約書に記載する内容は自由ですが、書くと問題になってしまう事項もあります。
以下のような事項は、契約書に書くべきではありませんから、注意しておきましょう。
公序良俗に違反する内容
一般的な道徳観念から考えて妥当とはいえない約束、反社会的な内容の約束など、公序良俗に反する内容は、契約書に書いても無効です。
たとえば、愛人契約や殺人の依頼などは当然NGです。このほかに、過度の違約金の定め、子どもが生まれたら借家を明け渡す約束なども公序良俗違反とされる可能性があります。
強行法規に違反する内容
お金の貸し借りの場合には、利息制限法で上限金利が決まっていますから、これを超える利息を定めた場合、超えた部分については無効になります。
また、建物所有目的での土地の賃貸借契約や建物の賃貸借契約には借地借家法が適用されますが、借地借家法の契約期間や更新の規定は「強行法規」とされており、当事者の合意でこれに反する特約をしても無効になります。
契約書作成におけるその他の注意点
2枚以上になったら割印する
契約書の枚数が2枚以上にわたった場合には、各頁にまたがるように割印をします。割印をすることで、一体の文書であることが明確になり、2枚目以降が差し替えられることの防止にもなります。
なお、割印は、通常、契約書に押印する全員が行います。
収入印紙が必要な場合がある
契約書の種類によっては、作成すると印紙税がかかり、収入印紙を貼付しなければならないものがあります。この場合、同じ契約書を2通作ったなら、2通ともに収入印紙を貼らなければなりません。なお、収入印紙を貼った場合には、印紙と書面にまたがるように消印をします。
収入印紙を貼っていなくてもそれを理由に契約書が無効になることはありません。ただし、貼っていないことが税務署に発覚した場合には、本来の額の3倍の税金を徴収されることになりますから、注意しておく必要があります。
まとめ
上記は契約書の大まかなルールですが、契約の種類によっては、他にも書いた方が良いことや注意すべきことが出てきます。また、せっかく契約書を作っても、余計なことを書いたり、書くべきことを書いていなかったりして、契約自体が無効になってしまうケースもあります。
契約書は契約の相手方から提示されることも多いと思います。相手方に提示された契約書によくわからないまま署名捺印してしまえば、相手方にのみ有利な契約内容になっていて、後悔する結果になってしまうこともあり得ます。
これから契約を締結する場合や、契約内容を書面にしておきた場合には、将来のトラブルを予防するために、専門家に相談していただくのが確実ですので、お困りの方は当事務所へご連絡下さい。
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