不動産の住所変更登記(氏名変更登記)を自分でやるための手順
監修
司法書士 速水陶冶
/司法書士法人はやみず総合事務所 代表東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
東京司法書士会所属。1979年東京都生まれ。幼少期に父親が事業に失敗し、貧しい少年時代を過ごす。高校を中退した後、様々な職を転々とするも一念発起して法律家の道へ。2009年司法書士試験合格。
2023年以降、変更登記は義務化され、手続きを怠っている場合には罰則も課せられます。
今回は、不動産の住所・氏名変更登記を自分でやるための手順を解説します!
変更登記は、まず『必要書類』を揃え、登記の『申請書』を作成し、『収入印紙』を貼って、法務局に『登記を申請』する手順で行う。
名変更登記をしないでいると、2023年以降は5万円以下の過料に処せられることになるので、早めに行うほうが良い。
目次
住所変更登記・氏名変更登記義務化へ
住所変更や氏名変更の登記は、今後義務化される流れになっているため、注意しておきましょう!
住所や氏名の変更登記とは?
『住所変更登記』・『氏名変更登記』とは、不動産の名義人としての住所や氏名の表記を変更する手続きを言います。
不動産の登記簿(登記記録)には、その不動産の所有者がどこの誰なのかがわかるよう、『所有者の住所・氏名』が載っています(下図参照)。もし所有者の住所や氏名が変更になった場合には、変更登記の手続きをしなければなりません。
変更登記をしなければ罰則を受けることになる
現在の不動産登記制度では、登記名義人の住所や氏名が変わっても、変更登記をするかどうかは任意となっています。しかし、所有者不明の土地が増えていて管理に問題が生じていることから、住所・氏名変更登記を義務付ける法改正を行うことが2021年3月に閣議決定しました。2023年以降は、住所・氏名変更登記を怠っていた場合、5万円以下の過料という制裁を受けることになります。
住所・氏名変更登記をしていない不動産がある方は、速やかに手続きすることを考えましょう。
住所変更登記・氏名変更登記の手順
以下では、住所変更登記・氏名変更登記を行う大まかな流れを説明します!
- 『登記事項証明書』を取得する
- 必要書類を揃える
- 登記の『申請書』を作成する
- 『収入印紙』を用意する
- 登記を申請する
- 登記完了
1,『登記事項証明書』を取得する
住所・氏名の変更登記を行う前提として、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在登記されている情報等を確認します。
登記事項証明書の取得方法
最寄りの法務局の窓口に、「登記事項証明書交付申請書」の用紙が備え付けてあります。交付申請書の用紙に必要事項を記入して提出すれば、その場で登記事項証明書を取得できます。
最寄りの法務局は、インターネットで「お住まいの地域+法務局」で検索すれば、探すことができます。
登記事項証明書の取得手数料
不動産1個につき600円です。一戸建ての場合、土地と建物は別々に登記されているため、両方の登記事項証明書を取得する必要があります。手数料の金額分の収入印紙を購入し、交付申請書に貼って納めます(※法務局によっては、登記事項証明書を渡されるときに収入印紙を貼るよう指示されるところもあります)。
2,必要書類を揃える
登記申請の際には、以下のような書類が必要になるので準備します。
(1) 住所変更登記の必要書類
必要書類 | 必要な記載内容 | 取得手数料 |
---|---|---|
住民票または戸籍附票 | 登記されている住所から現住所までの変遷を明らかにできるもの | 1通300円程度 |
(2) 氏名変更登記の必要書類
必要書類 | 必要な記載内容 | 取得手数料 |
---|---|---|
戸籍謄本 | 婚姻・養子縁組・離婚等で氏名が変わったことが記載されているもの | 1通450円 (除籍謄本、改製原戸籍謄本は1通750円) |
住民票または戸籍附票 | 住民票は本籍地記載のもの | 1通300円程度 |
3,登記の『申請書』を作成する
登記申請書の書式は法務局のホームページでダウンロードできます。記入例を参考に、必要事項を記入していきます。 なお、登記申請書はA4サイズの用紙で作成するという決まりになっています。手書きでもかまいませんが、黒インクのボールペンなど、消えないもので書く必要があります。
【住所変更登記の記載例】
法務局ホームページ:登記名義人住所変更登記記載例より抜粋
4,『収入印紙』を用意する
住所変更登記・氏名変更登記を申請する際には、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。登録免許税は通常は収入印紙で納めるので、金額分の収入印紙を購入しておきます。
一戸建ての場合
通常は土地と建物が1つずつなので登録免許税は2,000円になりますが、まれに土地が複数に分かれていて不動産の個数が増えることもあります。
マンションの場合
専有部分と敷地部分は別々にカウントするので、登録免許税は少なくとも2,000円かかります。敷地が複数ある場合には、その分不動産の個数が増えます。
5,登記を申請する
必要事項を記入した登記申請書に住民票等の必要書類を添えて、法務局の窓口に提出します。収入印紙はA4の用紙に貼り、貼った用紙は登記申請書と一括してつづり、契印しておきます。提出先は、不動産の所在地を管轄する法務局になります。
【参考】法務局:管轄のご案内
登記申請は郵送で行うことも可能です。郵送する場合には、登記申請書を入れた封筒に「不動産登記申請書在中」と記載の上、返信用封筒を同封し、書留または簡易書留で管轄の法務局宛に送ります。
6,登記完了
登記申請後、登記完了までは1週間から10日程度かかります。登記申請時に告知された登記完了日以降に法務局で登記完了証を受け取ります。
長期間放置していると手続きが複雑になることも
費用も数千円程度なので、早めに手続きしておきましょう!!
年数が経過すると必要書類が揃わないことがある
引っ越した後、不動産の住所変更登記をせずに放置していた場合、手続き段階になって必要な書類が揃わないことがあります。
住所の履歴を証明できる『住民票の除票』、あるいは『除籍になった戸籍の附票』については、つい最近まで役所での保存期間が5年となっていました(令和元年6月以降は保存期間150年に変更)。引っ越したのが何年も前であったり過去に転籍したりしている場合には、書類が既に廃棄されていて、手に入らないことがあります。
手続きが進まない場合には司法書士に相談
役所で住所のつながりを証明できる書類が入手できない場合には、『不在籍証明書』や『不在住証明書』といった書類を用意し、権利証と一緒に法務局に提出して証明しなければなりません。
どんな証明をすればよいかについては、法務局に確認しながら手続きを進めなければならず、非常に手間がかかってしまいます。このような複雑なケースでは、一般の人が自分で手続きをするのは困難ですので、司法書士に相談するのがおすすめです。
まとめ
引っ越しで住所を変更したときには、所有している不動産の住所変更登記も忘れずにしておきましょう。
住所変更登記をせずに年数が経過してしまうと、いざ手続きするときに余計な手間や費用が発生することがあります。結婚等で氏名が変更した場合にも、氏名変更登記をしておきましょう。
今後は住所変更登記や氏名変更登記が義務化され、手続きしていなければ過料の制裁も受けてしまいます。自分で住所や氏名の変更登記をする自信がない場合には、早めに司法書士にご相談ください。
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